ただ星を読むだけ。

西洋占星術を通して誰かや何かを語るだけのブログ。不定期更新。

『遊☆戯☆王ARC−V』の占星術的考察 ※ネタバレ注意

 

こんにちは。

 

今回はアニメ『遊☆戯☆王ARC−V』の占星術的考察をしますが、その前にこちらの引用文をご覧ください。

 

12宮(サイン)はその性質によって、さらに3つのグループに分類することができます。このグループは、お互いに90度ずつ離れた4つの宮から成り立っています。(中略)

活動・不動・柔軟という3区分は、行動様式(モード)を決定づけます。

引用元:岡本翔子 『完全版 心理占星学入門(文春e−Books) 』 文藝春秋、2020年、47頁

 

今回はその行動様式の一つである「活動宮」がメインになります。

 

活動宮(♈牡羊座・♋蟹座・♎天秤座・♑山羊座)

活動宮は分点と至点(春分夏至秋分冬至)から始まる4つの宮に対応します。これらの宮に共通していえることは、進取の気性に富むということ。常に物事の真っ最中にいるときに自分のベストを発揮し、人の上に立つ素質に恵まれます。その行動様式は、改革と変化を好む活動性にあり。環境の変化にすばやく反応しつつ、自己を確立していくのが特徴です。

岡本翔子 『完全版 心理占星学入門(文春e−Books) 』 文藝春秋、2020年、47−48頁。

 

それでは本題に入ります。皆様どうぞお付き合いよろしくお願いいたします。

 

www.tv-tokyo.co.jp

 

大まかにあらすじを説明しますと、尊敬する父のようなエンタメデュエリストを目指す主人公・榊遊矢(さかき ゆうや)はある日のデュエルで「ペンデュラム召喚」という未知の召喚方法を披露します。そこから自分や幼なじみの柊柚子(ひいらぎ ゆず)と同じ顔をした3人ずつの人物や召喚方法ごとに分かれる4つの次元の存在を知り、さらに赤馬零王(あかば れお)の野望に巻き込まれながらも遊矢は自身が目指すエンタメデュエルは何かを探るというもの。

 

引用元:ホロスコープを無料で作成!初心者でも簡単 運勢も診断できる。|メトロポリタン占星学研究館

 

いつもはこちらのサイトのホロスコープを利用させていただいています。こちらでも十分解釈が可能です。

 

太陽は牡羊座で第7ハウス在室。同ハウス同星座の天王星コンジャンクションで、第1ハウスの天秤座火星とオポジション

また太陽・天王星は第10ハウス蟹座木星と第4ハウス山羊座冥王星とスクエア、さらに木星冥王星オポジションを繋いで「Tスクエア」を形成しております。

 

プロデュエリストでありながら試合前に突然いなくなってしまった榊遊勝(さかき ゆうしょう)の息子であることで馬鹿にされたり、それに加えて未知の召喚方法「ペンデュラム召喚」を実践したこと(=第7ハウス牡羊座天王星)で目をつけられたため、人間関係のトラブルは多い方でしたが、自身と同じ顔をした少年、ユートとユーゴに出会い、ユーゴとのデュエルで敗北したユートを自身の中に取り込んだ事がきっかけで、遊矢は怒りを感じると凶暴性が増して暴走するようになります(=第1ハウス天秤座火星)。

 

この件に加え、自身が理想とするエンタメデュエルと周囲が求めるデュエルの間で苦悩しながらも己の理想を貫こうとしますが、ユーゴとユーリを自身の中に取り込んだ事で、遊矢自身の中の覇王龍ズァークを復活させてしまいます。

 

最終的に仲間たちとのデュエルを経て世界はリセットされ(=第4ハウス山羊座冥王星)、遊矢はズァークによる世界滅亡のループを終わらせ柚子を救うために理想のエンタメデュエルを実現させます(=第10ハウス蟹座木星)。

 

これだけでも十分にハードさを感じますが、こちらのホロスコープ、別のサイトではオーブ(許容誤差)が広いので、複合アスペクトの一つである「グランドクロス」が形成されます。

 

二組の惑星がオポジション(180度)を形成し、また、その4つの惑星がそれぞれスクエア(90度)を形成したアスペクトです。ちょうど「十」の字を作るため「グランドクロス(大きな十字)」と呼ばれます。困難と同時に、それを乗り越える強さを表すアスペクトです。出生ホロスコープにこのアスペクトを持つ人は、苦労しながらも人生を開拓し、人間的強さを蓄えていくと考えられています。

ルネ・ヴァン・ダール研究所『基礎から分かる西洋占星術の完全独習:星々の導きで運命をたどる旅へ』日本文芸社、2020年、195頁。

 

その「グランドクロス」がこちらです。

引用元:Astrodienstの無料ホロスコープ

 

先ほどの「Tスクエア」から火星と木星冥王星へのスクエアを繋ぐと「グランドクロス」が完成します。

 

牡羊座・蟹座・天秤座・山羊座の活動宮から成るグランドクロスがある場合、このような解釈がされる事が多いです。

常に自分を発見し続ける

変化し続ける

 

「自分は何者であるか」

 

自分のアイデンティティ

求め続けていく

 

状況や時期などによって変わることのない

「自分は自分である」

という自己認識として確立されること

引用元:グランドクロスを生かしていく ①活動宮|他人を気にせず自分120%で生きる☆スピリチュアルセラピストはな

ameblo.jp

 

まさに遊矢のストーリーそのものです。「グランドクロス」も4つの天体があってこそ成立するアスペクトです。4人の同じ顔の人物、4つに分かれた次元。運命的な何かを感じます。

 

なお、月は第9ハウス蟹座で、第5ハウス魚座金星・海王星とトライン。父親が試合前に失踪したことで非難され馬鹿にされたにも関わらず、遊矢は変わらず尊敬し父のようなエンタメデュエリストを目指そうとしていたことから、本来の彼は家族愛が強く、笑顔に満ちた理想のデュエルを追求する心優しい性格であることが分かります。

 

知性を表す水星も魚座。「感受性が強く自分の感情を通して知識を得たり物事を判断したりする」(92頁)と岡本翔子氏の『完全版 心理占星学入門(文春e−Books)』に記載されてあり、そして蠍座土星なので父が魅せた笑顔あるデュエルに強くこだわっていました。

 

そんな人物だったからこそ周囲が求めるデュエル(闘いの道具・相手を叩き潰すモノとして)に苦悩した末にズァークになって暴走してしまったのだと思います。

 

ここまで一見良いように書いていますが、この作品の評価はかなり悪い方です。デュエルの中断が多い、キャラの心情がブレてばかりだったり変なところで意固地になったりで共感出来ない、遊矢の笑顔のデュエルが押し付け感あるしキャラがそれに共感する場面も洗脳みたい、そもそも勝者と敗者に分かれるデュエルで笑顔にとか無理があるなど、とにかく脚本とキャラの扱いとデュエル構成の粗が目立つ作品とされています。

 

グランドクロス」はその強力さから大吉にも大凶にもなるアスペクト。それをコントロールするのはだいぶ難しいことです。この作品はそれを物語っていたのだということです。

 

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本日も当ブログにお越しいただき、誠にありがとうございました。

 

それではまた。